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今、読者の皆さんと一緒に考えたいと感じた
ホットなトピック

 



LOGIC初のアップデート2.0デビュー!

ついに、LOGICのアップデート版2.0の販売を2023年5月23日より開始いたしました。

『LOGIC』は、スキンケアを仕事のパフォーマンスを向上させる“ワークツール”と位置付け、アップデートし続けることをコンセプトのひとつとして掲げておりました。

2020年のデビュー以来、定期的にアンケートやユーザーインタビューを実施、またスキンケアにおけるニーズの変化を分析し、処方から使用感、デザインに加え、価格よ容量も見直し、忙しい毎日を過ごす方々にとってさらに快適で満足度の高いアップデートにこだわりました。ぜひ、ご体験ください。


アップデートのポイント①
忙しい毎日における外的環境*に負けない“肌の基礎体力づくり”という
考え方のもと、肌のバリア機能に着目した処方設計に改良。

*ちり・ほこり・花粉、エアコンなどによる乾燥


アップデートのポイント②
ユーザーの声を参考に、使用感と香りを見直し、
スキンケアの心地よさをさらに追求。


アップデートのポイント③
ユーザーの使用状況を考慮し、価格と容量を見直し。
さらなるコストパフォーマンスの向上へ。


アップデートのポイント④
カラーリングとレイアウトを一新し、
使用空間になじむ、よりミニマルなデザインに。


アップデートしたLOGICをお楽しみいただけることをチーム一同心より願っております。

LOGICチーム一同

 

LOGIC | PEOPLE


第一線で活躍するプロフェッショナルの体験や知見から
パフォーマンスアップにつながるヒントを学ぶ。

 



030
株式会社いいオフィス 
龍崎コウ氏

LOGIC MAGAZINE第30回インタビューにご登場いただくのは、株式会社いいオフィスの龍崎コウ氏です。「どこでもいい世界」の実現を目指し、全国47都道府県や海外に900以上のコワーキングスペースを展開する同社。事業を牽引する龍崎氏は、私財を投入してビジネスを展開しています。そこまでして龍崎氏が事業に取り組むのは、一体どのような背景があるのでしょうか。(聞き手:LOGIC MAGAZINE編集部 佐々木、村上)

 

事業というバトンを次に渡すまで。
まだまだ冷めない熱

ーこのインタビューでは「夢中」をテーマに、起業家の方々に話を伺っています。龍崎さんが「いいオフィス」の事業に夢中でいられるのは、何が大きく影響しているのでしょうか。

龍崎:自分にとって本当にやりたいことで、しかも関わる人が喜んでくれるからです。それこそ10代や20代の頃は、お金をずっと追いかけていました。その結果、ある程度の成功を収めて、家族が生きられるだけの資産を蓄えることができたわけです。ただ、その代償に30代で目標を見失ってしまいました。どこか冷めているというか。

ーなかなか熱くなれなかった、と。そうした状態から事業をはじめるに至る際に、どのような転機が?

龍崎:当時、私はLIGというWeb制作会社の副社長に就いていて、コワーキングスペース事業を展開していました。そして、あるときフィリピンのセブ島にあるサテライトオフィスに赴く機会があったんです。そこで現地で働くメンバーが楽しそうに働く姿を見たのですが、一方で疑問も湧いてきて。日本人と同じ仕事をして、同じ成果を出しているのに、どうして賃金は日本人の5分の1しかないんだろうと。現在のビジネスシーンには、そういう歪みのようなことがたくさんあるんですよね。

ーそうしたコストカットの実情は、世の中で当たり前になりすぎて感覚が麻痺している部分もありますよね。

龍崎:利益を上げるためにコストを下げるのは、企業として当然の姿勢で、だからこそ人件費の安いフィリピンに住む人たちを雇っているわけですが、私は腑に落ちませんでした。そこでコワーキングスペースを軸にコミュニティを形成して、そのなかで仕事の受発注をする仕組みをつくれないかと考えたわけです。ただ、コワーキングスペースを整えていくためには相当の借入金が必要で、直営で運営を続けていくのは難しいと判断して分社化しました。

ーそれで現在につながっているわけですね。

龍崎:現在取り組んでいる「いいオフィス」の事業は第1フェーズ。すべてのワークスペースをインフラ化していこうと考えています。その次に、私が課題と感じた賃金格差をなくすためにクラウドソーシングを活用して仕事の受発注の循環をつくっていく予定です。それが第2フェーズ。それだけでなく、ライフスタイルプラットフォームを構築して多様なサービスを展開する第3フェーズ、スコアリング事業に取り組む第4フェーズまで考えています。

ー先ほどコワーキングスペースを整えていくためには相当な資金が必要だという話がありましたが、龍崎さんは「いいオフィス」の事業を推進していくにあたり、私財も投入されているそうですね。並大抵の覚悟ではできないことだと思うのですが、どうしてそこまで振り切ることができるのでしょうか。

龍崎:もちろん失敗すれば資金はなくなりますが、この数年間で培ってきた経験値は必ずどこかで活きると思うんです。実際、5年前の自分と今の自分を比較してもまったく違うスキルが身についていますから。だから、マイナスにはならないんですよ。仮に今回がダメでも、また次に頑張ればいい。それくらいの気持ちで事業に取り組んでいます。

ーちなみに、龍崎さんは事業に取り組むなかで、どんなことを大切にしていますか?

龍崎:“本質的であるか”はよく考えます。ビジネスシーンで「TTP(徹底的にパクれ)」という言葉がよく使われるじゃないですか。あの姿勢も質の高いものをつくれるのであればいいと思うんです。でも、多くの場合が中途半端でカッコ悪い。適当なんです。そういうものが平然と蔓延するのがすごく嫌なんですね。一方で、本質的なものは簡単には廃れません。僕自身、今までさまざまなビジネスに携わってきましたが、きちんと取り組んできたものは結果として返ってきていますから。

 

アプリを活用して、どんな場所でも「いいオフィス」に

ー「いいオフィス」は日本全国47都道府県や海外に900店舗を展開しているそうですね。順調に進んでいる感覚はありますか?

龍崎:自分としては、合格点を出してもいいと思います。この事業をはじめたタイミングで「3年で1000店舗」という目標を立てたのですが、その数字を達成し、ユーザビリティの低い店舗の解約など、クオリティコントロールができている状況ですので。

だから、そんなに悪くないんじゃないかなと。ただ、私たちは「2027年までに1万店舗」を目指していて、その実現のためには通常の方法では不可能だと思うんですね。だからこそ、端から攻めていく戦略を取りました。

ー端から攻めていくとは?

龍崎:多くの企業は軸となる事業を中心に外へ向かって広げていくと思います。コワーキングスペース事業でいえば、店舗を増やしていくのが主な戦略です。一方、私たちは2021年11月に「いいアプリ」というスマートフォン向けアプリを自社で開発・リリースしました。このアプリには、スマートロックの解錠と決済機能が搭載されていて、いいオフィスに限らず、あらゆるスペースを解錠から決済まで一元管理できます。ですから、このアプリを利用すれば、どんな場所でも「いいオフィス」にすることができるんです。だから、フランチャイズ化もしやすい。

ー企業や個人が持つ空きスペースをワークスペースとして活用できるわけですね。

龍崎:まさに。私たちが目指しているのは、ワークスペースのインフラ化です。どんな場所でも働けるようにしようと。将来的には、このアプリで勤怠や経費の管理をできるようにする予定です。それだけでなく、事業が第3フェーズまで進めば、この「いいアプリ」にさまざまなサービスを紐づけて生活を豊かにしていきたいと考えています。それこそ、スポーツジムや学習塾も入退室の管理もできますから。そこまで見通していたこともあり、「いいオフィスアプリ」ではなく「いいアプリ」と称しているんです。

 

私の名前はどうでもいい、愛され続けるサービスをつくり続けたい

ー「いいオフィス」の事業については、これからさらに攻勢を仕掛けていくのでしょうか?

龍崎:そうですね。特にこの1年は、市況が大きく変化しました。それもあって、これまで赤字覚悟で店舗数を増やすことに注力していたのですが、景気が冷え込むことを念頭に、きちんと利益を生み出せるように体制を整えたんです。その甲斐もあり、現在は順調に事業を展開できています。

ーそれは素晴らしいですね。

龍崎:いいオフィスの拡大はある程度できたので、これからは第2フェーズとなる「コミュニティ事業」に着手していく予定です。それだけでなく、新たなサービスのリリースも準備しています。とは言っても、ベンチャーキャピタルから投資を受けているわけではないので、時間的な制限もないですし、焦らず着実に進んでいければと。

ー具体的に考えていることはありますか?

龍崎:フランチャイズとは別に、自社で無人型の店舗開発に注力していて。良い物件があれば「いいオフィス」として整備して、企業に貸し出したり、オーナーさんに販売したりしています。それで得た資金で新たな店舗を開発していく。その循環によって大量出店も可能となりました。今までは、どうしてもオーナーさんのビルをコワーキングスペースにしたいとか、こういうコワーキングスペースをつくりたいという相談が多かったんです。住宅でいう注文住宅ですね! 

しかし今、私たちはユーザーに求められているものを理解し、つくることができます。完全個室で、駅前にあって、安くて、24時間利用できるという。我々はコワーキングスペースでNo.1になりたいわけでも、店舗数の出店記録をつくりたいわけでもありません。「働き方」という多様性のあるカルチャーをつくるために足りてないものを我々がつくる。我々じゃなくても大丈夫な分野は他の方々にお任せし、パートナーとして一緒に進むだけです。

ー龍崎さんはいつまでこの事業にコミットしている予定なのでしょうか?

龍崎:正直な話、第1フェーズであるコワーキングスペース事業だけで完結するのであれば、今年中に退任しても大丈夫だと思っているんです。でも、第4フェーズまで構想があり、第2フェーズ、第3フェーズに関しては私にしかできないことも多いので、私が退くのはもう少し先の話になるかなと。ただ、このまま順調に第4フェーズのスコアリングソリューション事業まで進んだら、私以上に専門知識を持った適任者がいるはずなので、安心して退けるのではないでしょうか。

ーそうすると、まだまだ熱は冷めないまま事業に取り組めそうですね。

龍崎:少なくとも私の名前が立つようではダメだと思っています。極端なことを言えば、「あのサービスってすごく質が良いよね。でも、社長って誰だっけ?」と言われるくらいにしないといけない。そのレベルに至るまで「いいオフィス」というブランドの世界観を構築してから、次代にバトンを渡したいですね。

 

______________

 

龍崎コウさんのパフォーマンスアップのためのルーティーン 


「犬の散歩」

昼前に犬の散歩をしています。もともと歩くのが好きなこともあるのですが、思考を整理するのに最適なんですよね。

「ジム通い」

身体を鍛えるというより、好きなものを食べたいという動機でジムに通っています。エアロバイクを1時間ほど漕ぐのですが、その間だけNetflixを観ていいというルールを自分に課していて。続きが気になるときは時間を延長したり、週に通う頻度を増やしたりしています。

 

龍崎コウさんのおすすめのワークツール


「日本経済新聞」

最近は読む人が減っていると聞きますが、私の情報源は相変わらず新聞です。その週に発行されたものを1度にまとめて読むようにしているのですが、デジタルのように自分の気になる記事だけを抜粋して読むのではなく、1枚ずつ紙をめくりながら政治・経済・スポーツと網羅的に読むことで、自分の思考の偏りをなくしたり、新たな知識を身につけることに役立つんです。

 

LOGIC | CULTURE


教養としてのカルチャーを楽しみながら学ぶ。



「語りたくなる手みやげ」第3回

『urakuの月夜野梅干し』


 陽射しの強まりに初夏の気配を感じるこの季節。梅仕事に精を出す人たちはそろそろ今年の梅の出来に気を揉む時期でもあります。昔から「梅はその日の難逃れ」と言われ、中医学では食欲不振や腸の調子を整え、疲労回復によいなどとされる食材。自家製保存食のノウハウが詰まったロングセラー『私の保存食ノート』(佐藤雅子著・文化出版局)の梅干しの項は、「『つけ梅!』『つけ梅!』と言う梅売りの声は初夏の風物詩の一つでしたが」と始まり、それも今では過去のものになってしまったと回顧する様子が描かれています(1971年初版)。時は流れて、令和の現在。自家製梅干しは遥か遠く、それどころか、今年初めには、「梅干し離れ」がちょっとしたニュースになるほど。

 報道によると、1世帯(2人以上)あたりの消費量(総務省の家計調査より)は2002年の1053gがピーク。21年には658gと、約20年の間に約4割減(!)とのこと。落ち込みの理由を若者の梅干し離れに求め、限られた収入では梅干しに回す余裕がないことや、酸味が苦手なことなどを挙げるメディアを見かけましたが、ちょっと待った! 食傷気味な「若者の〇〇離れ」説はさておき、梅干しを愛する者としての目線で、異を唱えてみたいと思います。題して、「スーパーの梅干し売り場にもっと“ごく普通の”梅干しが並んでいたら、梅干し好きが増えるかも」説。

 ここでいう「普通の梅干し」の原材料は、梅、しそ、塩のみ。まさに、昔、各家庭で漬けていたような、塩気があり、容赦なく酸っぱいシンプルな梅干しです。これが意外に一般的な梅干し売り場では少数派なんですよね。減塩や酸味の軽減を求める購入者のニーズに応えた結果、昭和50年代からはちみつや調味液などで味付けされた梅干しのバリエーションが増えたようですが、にもかかわらず、梅干し離れが止まらないのであれば、昔ながらの味を見つめ直してみてはと思うのです。

 この3月から発売が開始された「月夜野 梅干し」を手がけるユニット「uraku」の石崎由子さんと田沢美亜さんは、そんな梅干しを求めるあまり、ついには自分たちの手で梅を育てるところから始めてしまった人たち。群馬県のみなかみ町にて、無農薬無肥料の自然農法に基づき梅を栽培し、梅干し作りに使うしそも無農薬無肥料。塩は、梅の土地にできるだけ近い産地のものを求めた結果、新潟のまろやかな天然塩にたどりつきました。



 使用している小梅は樹上で完熟させているため、皮が薄く、非常にフルーティ。皮の薄さは、柔らかくふわっとした梅肉の食感につながりますが、天日干しの際、薄い皮がやぶれないようひと粒ずつ丁寧にひっくり返さねばならないため神経を遣います(自家製梅干しが永遠に憧れのままなのは、ひとえにこの作業の大変さゆえ…)。



 梅干しの作り手である「uraku」は、クリエイティブディレクターの石崎さんと、ファッションモデルの田沢さんが、日本の伝統的な手仕事の価値を次の世代へ手渡したいという意志の下、2015年に設立。伝統工芸に携わる職人への取材やイベントの開催を重ねています。過去には、江戸時代に盛んだった徳島の藍染めの原料「藍」を軸に、プロダクトの制作を手がけるだけでなく、藍を使用した食事会を催すなど、「受け継がれてきた手仕事」をハブに食の領域にも活動の枠を広げており、この梅干しのリリースもその延長線上にあるといえるでしょう。

 ごはんの供だけでなく、煮物などにひと粒入れると味がぴたりと決まる調味料としても使える、塩だけで味付けされた梅干し。医者いらずと言われる食材からこのまま離れてしまってはもったいない。「梅干し再入門」のきっかけに、昔ながらの味わいを大切な人に手渡してみてはいかがでしょう。


月夜野梅干し(各170g)
カバー写真左:「SHIRO」(小梅、白うめ)¥1,620(税込)
カバー写真右:「SHISO」(小梅、紫蘇うめ)¥1,836(税込)

オンラインストア
https://urakutokyo.square.site/

 

浅井直子
編集者。『料理王国』前副編集長。三重県生まれ、愛知県育ち。中央大学文学部社会学科卒業後、広告制作会社などを経た後、独立。主にファッションと食のコンテンツ制作に関わり、2019年、『料理王国』副編集長に。2021年よりフリーランスの編集者として食と酒を主軸に活動しつつ、現在、食を文脈で読み解くメディア「FOOD commons」の準備と今年発行予定の日本酒本を執筆中


(この記事は2023/06/02にNewsletterで配信したものです)

 

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